小説個別記事

カルピスが飲みたいわ※台詞のみ

カ:カ〇ピスが飲みたいわ!!!

天:は?

ア:え?

銅:何で?

ト:カルティーちゃんの嫌いな「白い」飲み物じゃない?

カ:色だけよ嫌いなのは!ぶどう〇ルピスとか苺カル〇スとか、白くない派生モノの味は大好きなのに…。プレーンなのは飲んでみたいけど白色だから作りたくないし見たくないの、このジレンマ分かるかしら?

ア:カルピ〇詰め合わせなら、行商人がこの間置き薬の如く置いていきましたが…。

カ:嫌、見せないで!白いわ、白すぎるの!誰か真っ黒に塗ってから持って来て頂戴!

ヴァ:黒ク塗ル…ソレダ!

カ:え?

ヴァ:か〇ぴすヲ黒ク染メテシマエバイインダヨ!

天:ヴァールハイト、お前飲み物を染めるものなんて持ってんのか?それとも出任せか?

ヴァ:…出来ルトハ言ッテナイヨ?

天:お前なぁ…。

銅:オレ 竹炭 もってる。

天:マジで!?

ヴァ:銅サンなーいす♪

ア:…どこで買って来たんです。

銅:通販 書道の墨とまちがえて買った。

ト:へー、ここって通販届くんだね!今度業務用飴ちゃん大人買いしよ。

ア:ちょ、いくら配達員とは言え地上の民をあまり此処に呼び込まないで下さいよ!

ヴァ:トモカク、竹炭ハ食用ニナルミタイダカラネ、粉末ニシテかる〇すニ混ゼレバ、ぶらっく〇るぴすニ出来ルト思ウヨ。

カ:へぇ、成程ね…、じゃあ早速その墨ピスを私に作って下さる?

天:自分で魔法使って作った方が早くないか?

カ:作業過程に真っ白のカルピ〇を見るのは御免だわ。

ト:それくらいなら、僕がちょちょいとやってあげるよ~

カ:まあ死神さん、ありがとう。

ト:1・2のパチン!…で先ずは粉にして、これを瓶にさらさら~と。ほら、墨ピス原液できたよ。

カ:早速作って来るわ!貴方達にもご馳走してあげるからちょっとここで待っていらして。

天:お、やった!

銅:カ〇ピスかー 何年ぶりかな。

ヴァ:かるてぃーサン太ッ腹!

ア:おや、ありがとうございます。楽しみですね。

ト:(墨なんて使わなくても魔法で黒く出来た事は今更だし言わなくていいかな…)

ゆうがたらぼらとり

 うんと伸びをし、身体の一部になりかけていた眼鏡をそっとケースに戻す。
アレグロの仕事は済んだわけではなかったが、ここいらで休んでおかないと余計に効率が悪くなってしまうだろうと、ディミヌが作業用PCを強制的にスリープさせてしまったからだ。
窓の外に目をやると、太陽は作業を始めた時と正反対の方角で橙に染まっていた。

「全く、あと少しで一区切り付けようと思ってたんだけど。たまに変な気を利かせるんだよなあ。」

と、ため息交じりにアレグロがぼやくと、隣の作業台で長い方の腕の肩(?)を回していたアルモニカはくすくす笑いながら

「そうやって、あと少しあと少しと言いながら画面付けっぱなしで寝落ちるアレグロくンをディミちゃンは何度見た事でしょうかネ。 …ま、ワタシも年に平均194回は見ますけド。」

と返した。

思い当たる節は……思い出す前に、具体的な回数まで言われてしまった。
ばつの悪い顔。特別面白い事があまり起こらない研究所生活の中では、それさえもアルモニカの話のタネになってしまう事を、アレグロはここ数年でとっぷり学んでいる。
出来るだけ普段のふにゃりとした困り顔を変えないようにしつつ、

「ああ、うん。はい。休むようにするから、…その、そんなにニヤニヤしないでくれると嬉しいかな?」

と頼んだが、それを聞いたアルモニカはぶっと噴き出した。逆効果どころか、ツボにはまってしまったらしい。
ひゃっひゃっひゃ、と涙目で笑い、ミトンの手でお腹を抱え、長袖の手で床を叩きながら、床に伏すアルモニカ。ただ努めてやんわりと意思を伝えただけなのに、何がそんなに面白いのかはアレグロの理解の範囲外である。

ともかくアレグロとしては大迷惑だったが、だったはずなのだが、お人好しな彼の手は勝手にアルモニカの背をさすっていた。

「ヒー、ふゥ、あー可笑しいでス。アレグロくンはもう少し強く出ても良いと思いまス。そのわざとらしいふんにゃりした感じ、じわじわどころじゃない程クるんですヨ!しかも遠まわし過ぎの何の解決にもならない嘆願、ぷくくっ、これをニヤニヤせずに聞く方が難しいというものでス…ぴゅヒっ、思い出し笑いが、ひゃひゃひゃ」

「分かった!ストレートに言えば止めるんだね!お願いだからもう僕のくだらない発言にいちいち笑うのは止めてくれよぉぉぉ!!」

今度はアレグロが涙目になる番だが、笑い泣きと泣き笑いでは全く意味が違う。今回は後者である。

大の大人が二人してぴーぴーぎゃーぎゃーと騒いでいると、きぃ、と控え目な音を立てて、にわかに研究室の戸が開き、戸の隙間からネロリがひょっこりと顔を出した。

「ねえ、きょうはおゆうはん、ネリもいっしょにたべていい…って、おにいさんとおねえさん、なにしてるの?」

怪訝そうな顔で尋ねる幼女と、笑い泣きと泣き笑いの男女一組。
…とても微妙な構図であった。
はっきりと言えば、とても間が悪かった。

何とも言えない冷えた空気が通り抜けたように思える中、アルモニカはしたり顔でアレグロに話を振る。

「ひゃー、ほら、あんまりアレグロくンが騒ぐものだから、ネロリちゃンがびっくりしてますヨ?」

「あ ね、ネロリちゃん、お兄さんが五月蠅くしてしまってごめんね。うん、よし、今日の夕飯は一緒に食べよう。」

かなり「達」を強調してアレグロは返したが、どうにもアルモニカにとっては心外だったらしく、少しムッとした声が

「アー、アレグロくンが叫んだくせに、何気にワタシを巻き込みましたネー!」

と、スーパーボールのように返ってきた。全くもって大人げない限りである。
対して、おそらくこの場で最も冷静かつ妥協的なネロリは

「おにいさんおねえさん、けんかしちゃだめ。おにいさんがとりあえずあやまっとけば、そのばはおさまるよ。」

と、真顔で諭してきた。幼気な少女特有の真っ直ぐな澄んだ瞳で。アレグロを見つめて。

アレグロはさんざん女性陣の顔色を窺った後、結局幼女には逆らえず、すいませんでしたー、と謝った挙句、夕飯を任される羽目になったとさ。

「ああ…今になって、どっと疲れが出て来たよ……。ディミヌの判断は正しかったんだな、うん。」

思わずそうこぼした頃には、中断した作業の事も頭から吹っ飛ぶくらいに身体が重くなっていた。

fin

雪空の落とし物 「ハコベ」

Photo震にしては短くて、爆発にしては静かな家鳴り。
それはまるで、何か柔らかいものが恐ろしい勢いで家にぶつかったかのような。

「まさか、ケーキ」
「それは無いわ。」

私の名前は沙月。どうも色々あって、この子…アカシアを匿っているバウンティハンター……と言うべきかしら。

全く、アカシアの変に子供っぽい所はいつになったら治るのかしらね…。

仮に本当に家にケーキがすっ飛んで来たにしても、勢いに負けたケーキが潰れて粉々になる事しか想像できない、と言いたい所をギリギリで飲み込み、私は仕方なく窓の外へ目をやる。

先ず最初に目に映った色は。困った事に、雪はすっかり春の草花に覆いかぶさっていて、僅かに見える桃色の花も寒そうに俯いてしまっている。
これじゃ、もう一度種から植え直さないといけないわね。面倒だわ。

次に目に留まった色は。青い体色で青い帽子の全身青色の女の子が、白いハコベの花を抱いて雪の上で眠っている。


………、眠っている? 雪の上で?


「アカシアっ!!毛布を用意して!!今すぐに!!!」
「へ?何故ですの?」
「いいから早く!!!」

急に怒鳴りつけられたアカシアは大分機嫌を悪くしながらも、しぶしぶ寝室に向かってくれた。
少し申し訳ないけれど、事態は一刻を争うのだ。

玄関のドアを勢いよく開け、青い少女のもとへ急ぐ。
まるで真冬そのものの、氷の棘が身を刺すような空気の冷たさが痛いが、そんな事で文句を言ってはいられない。

家の外周を走り、リビングの小さな窓の外に横たわっていた少女を見つけると、すぐ脇の下の温度を確認した。
幸い、体温はまだ下がりきっていなかったので、少しほっとしつつ、少女を担ぐ。

と、その時、濃黄色の欠片が少女から転がり落ちた。

「ルーナリアス…?何でこんなに粉々に…」

強い守りの力を持つ魔宝石ルーナリアスが砕けるなんてそうそう無い事なので、思わず呟いてしまったけど、少し視線を上げたら納得した。

家の屋根の角が、大きく凹んでいたのだ。そして、その屋根の斜め下方に、この青い子は落ちていた。
幾らか予測は立てられるが、おそらくこの子はどこか高い所から放り投げられたか、どこかから吹っ飛ばされたかで大きくスピードを得た結果、ルーナリアスが耐え切れないほどの衝撃で私の家にぶつかって来たのだろう。

そう考えれば、さっきの大きな家鳴りの原因は十中八九この子が家に突撃した事だったのだろう。

もしもルーナリアスをこの子が装備していなかったら、家に趣味の悪い生臭いウォールペイントが出来ていたわね、と頭の中でぼやきながら、玄関までUターン。
見た目で想像はしていたけど、随分と重量のある帽子を着ているのねこの子……
お陰で、帰りにできた足跡は行きの2倍の深さになっていたわ。


リビングに戻ると、むすっとした顔のアカシアが毛布を持って待っていた。

私の姿を見るなり直ぐさま青い子を掻っ攫い、毛布でぐるぐるに包んでストーブの前に放り投げた後、ご丁寧にほかほかと湯気の立つチャイを三人分テーブルに並べて、やっとアカシアも一息ついたようだ。

「もうっ、ケーキを買う約束はすっぽかしましたのに、私をこんな風に使い走りにして、挙句の果てに変な子まで連れ込んで!どうしてこうも私が損をすることばかり!今日は散々ですわ!私拗ねてしまおうかしら!」

…訂正、まだアカシアは一息ついていないようだ。
どうも青い子をそこまで歓迎していないような物言いだけど、その割にはちらちらと青い子の方を見て気にしているようだから、実際の所はどうなのだろう。

「ほら、ケーキは雪が解けたら買ってきてあげるわよ。だからもういいでしょ。」

アカシアは呆れたような顔をすると(呆れたいのはこっちだけど)、溜め息を一つついて、ケーキについては妥協してくれたようだ。

「むー……。ねえ、その子どう致しますの、本当に。目を覚ましたらちゃんとお家に返して差し上げるんですわよね?まさか、子猫拾ったので飼います、というような事は言いませんわよね?」

ぎくり。

「まあ、そのつもりではいるけどね…」

チャイを啜りながら適当に誤魔化す。
その後の事については、全く考えていなかった。こう、本能的な保護欲で、ついつい拾ってきてしまった。
まあ、きっとちゃんと家には帰せるだろう。もし家なしでも、私の家なら狭くないし家計も余裕があるので、匿えない事もないんだけど。

その時、もそもそという音と、か細く呻く声。

「沙月さん!起きましたわ!あの子!見て来ますわ!」

そう言うが早いか、アカシアはパタパタと青い子の毛布を剥ぎにかかる。
結局アカシアもはしゃいでるじゃない、と思いつつ、青い子の様子を見に行ってみると、ぶ厚い毛布の拘束を解かれた中から、透き通る朝の海のような蒼と、深く暗い夜の海のような紫の瞳が、落ち着かない様子であちこちをきょろきょろと見まわしていた。

オッドアイなんて珍しいわね、と口に出すのはやめておき、とりあえず安心させるように話しかけよう。まずは身元確認…もとい、名前を聞き出さないと。

「おはよう。あなた、私の家の前で倒れてたから、私の家に運んだの。安心して、取って食ったりしないから。」

「え、えっと、えっと、その…」

ビクビクとよく分からない返事を返してくる。随分と動揺しているみたいね。困ったわ。

「沙月さん、とにかく名前だけでも訊きませんと…」

「分かってるわよ、もう……ごめんね、驚いたでしょうけど。私は沙月って言うの。あなたの名前、教えてくれる?」

すると、青い少女はきょとんとした顔をすると、手元にあるハコベの花を見つめ、空を見つめ、暫く私の目を見た後、泣きそうな顔になってこう言ったのだ。


「わたし、わたし、は、誰なんでしょう、か」

雪空の落とし物 「ある春の雪の日」

Photoる春の日の事。

草も花も、萌え盛る日の事。

私の名はアカシアと言いますの。少し訳あって、沙月さんのお世話になっておりますわ。

私は沙月さんのお家のリビングで、絵本を読んでいましたの。

リアリス神の創星の神話の絵本。

もう何度も何度も読んで、中身は暗唱もできますわ。でも、それをまた読み返すんですの。

全く、沙月さんたら家に置いてある本という本が銃器や野外活動についての野蛮なものばかりなんですもの、私の読めるような本は神話の絵本くらいしかありませんのよ。

そう、こんな春の日にが降っていなければ、お散歩でもしていた方がずうっと楽しかったでしょうに。

ああ、そういえば、昨日沙月さんとのオセロに勝って、ケーキを買って頂く約束をしていたんでした。お茶でもして、暇を潰しましょうかしら。

「沙月さん、昨日買って下さる約束でしたわね?ホールケーキ。まさか忘れたなんてこと、言わせませんわよ?」

私は知っていますのよ、沙月さんが約束を忘れたり、破ったりしない事は…

「無理よ。」

一蹴     …ですの!? それはちょっと、いくらなんでも、酷すぎますわ……。

第一、甘い物が無いのは私にとって死活問題なのは沙月さんも重々承知のはず。ここは粘って見せますわ。

「た…、確かに外で雪がしんしん降っていますけど、そして寒いですけれど、ちょっと着込んで傘でも差せば買いに行けますわ!絶対に!!だからケーキを…」

「無理な物は無理よ。大体、こんなに雪が降るなんて予想してなかったんだから、冬物の帽子もしまい込んじゃったわよ。また明日で良いでしょ?」

ぎゃふん、ですわ…。言い返せませんもの。我儘を突き通すのは、流石によろしくないわね、この年ですもの。

でも、でも、あんまりですわ。涙が、堪えきれません。私には甘い物が無いと駄目なんですのに。

「うう、ケーキ……」

「そんな事で泣くんじゃないわよ……」

呆れた声で言われても、私も困りますわ。だって、甘い物が食べられないだなんて、こんなに悲しい事は、他には誰かが死ぬことくらいしかありませんもの。

泣いているところを沙月さんにジロジロ見られるのも癪ですし、私室に閉じこもって縫い物でもしてやりますわ。綺麗なレースを縫って、沙月さんを驚かせてやりますの。

「空から雪じゃなくって、ケーキが降ってくればいいんですわ!ふーんだ!!」

冗談の捨て台詞ですのに、沙月さんたら、さっきより更に呆れた声で…

「そんな事あるわけ」

どがんっ

な、何の音でしょう…!?

「まさか、ケーキ」

「それは無いわ。」

……続く……

御祭サマー ~ニコとユリカと時々ディミヌ~

しろいしろい街のなか   あついあつい日昼下がり

機械とビルの街のなか   今日も変わらず人は行く

本日も晴天也   本日も晴天也…… 



『本日の最高気温は35度 本日の最高気温は35度 熱中症予防に水分・塩分補給を忘れずに……』

交差点の大スクリーンから響く声。人々の喧騒。かすかな機械の駆動音。
紫外線を取り除かれた日の光が、街を、人々を、焼くように照り付けている。

ここはメカノアート。最先端技術の結晶とも呼べる、清潔で幸福な機械の街。
少女は生まれ育ったこの街を嫌いなわけではなかったが、最近は退屈さを覚えていた。

「あ゛ーー、あっつーい……」

白とピンクのツートンカラーのキャップと、お揃いのヘッドフォンを着けて。
汗を拭いながらスクリーンを見上げる白い体躯の少女の名は、ユリカ。

「今日も涼んでいこ…」

巨大スクリーンの下にあるいつものカフェの前に立つと、外より8度低い空気がユリカを歓迎する。
香ばしいコーヒーの香りが鼻をくすぐる店内では、ユリカと同じくクーラーを求めて来店した客が各々の席で寛いでいた。

そんな中に、仏頂面でバニラフラペチーノを飲むウサ耳パーカー少女が一人。
ニコという名のその少女は、ユリカを見つけると少し驚いた後にパッと顔を明るくし、物凄い勢いで駆け寄って来ると、

「ユっっっっリっっっカっっっっちゃあああああんっ!!!」
「ぐぼぁっ!??」

抱き付いてきた。

「ユリカちゃーん!こんな所で会うなんて運命じゃないっ?丁度会いたかったのー!!」
「ちょ、ニコ、わ、わかった、ストップストップ、おちついて…!」

フラペチーノごと抱きしめて来るニコの手をゆっくり解きながら、苦笑するユリカ。
一方のニコは、少し不満そうな顔をしながらもそれに逆らう事はせず、代わりにパーカーのポケットから携帯端末を取り出した。

「あのねあのね、すっごい楽しそうなイベがあるからユリカちゃん誘おうと思ってて!そしたら本当にユリカちゃん来ちゃうんだもん!興奮しない方がおかしいって!!……ほら、見てみて、これ!」

そう言ってニコが見せてきた画面を覗くと、そこに書かれていたのは「ニーナタウン涼大祭」の大文字と、楽しそうな誘い文句に、カラフルなイラスト。
その1ページにふんだんに散りばめられたイベントの数々は、ユリカの心を躍らせるのに十分なものであった。

久しぶりのワクワク。求めていたドキドキ。ちょっと遠出になる?そんな事はどうでもいい。足りないと思っていた事が、全部詰まっているんだから。

「わぁ……、ねえ、これいつやるの?どこで?あ、ニーナか、ねえねえ行こうよこれすごい楽しそうっていうか絶対行くお祭りねえいつ空いてる?あたし今日から今スグ行っちゃってもぜんぜんいいんだけど行こう行こう荷作りしよう」
「ちょっと待って、さっきのあたしより今のユリカちゃんの方が絶対興奮しすぎでしょ。」

目をぎらぎらと輝かせて早口になるユリカを見て、今度はニコが苦笑する。

その時、急にニコの携帯端末の画面にノイズが走った。

なになに、と、更に深く画面を覗き込むユリカと、壊れたかな、と、軽く端末を叩くニコ。
壊れたわけではないらしく、怪しいノイズは徐々に消え、画面にはさっきまでいなかった存在がニヤニヤしながらユリカに向かって手を振っていた。

「あ、なーんだディミヌじゃん。やっほー」
「うぇ~、ディミヌ!?」

ディミヌ、と呼ばれた電子の少女は、触手をうにょうにょと動かしながら、そうでーす、と答える。
その顔は自信に満ちており、すごく良いこと知っていますと、顔に書いてあるようにも見えた。

「えへへー、マイマスターユリカさまに、ニコさまこんにちは~☆今日は一押し情報持って来ちゃったんですよぉ?聞きたいですか?」

それを聞くと、ニコはむっとした顔で舌を出し、画面を突く。

「べっつーにー?ユリカちゃんにはあたしが先に一押し情報教えたんだから!触手風情は引っ込んでなさいよ!」
「えー、そんな事言っちゃっていいんですか~?お祭りの情報ですよ~?ユリカさまもニコさまも好きそうなイベント情報ですよっ!!」

目を丸くした。ユリカとニコが。
ユリカはもしかして、と思い、一応訊くだけ訊いてみる事にした。

「あのさ…、それって、もしかしてニーナの祭りの事だったりしちゃう?」

今度はディミヌが目を丸くする番だ。

「え、何でわかったんですか?エスパーですか?」

動揺するディミヌを見て、ニコは得意げに腰(?)に手をやって、鼻息ふんすふんすと答える。

「えっへん、そ・れ・が、このあたしニコちゃんが先に教えた情報よ!」

それを聞き、予想以上にがっくりと肩を落とすディミヌ。

「えええええー!?ウサちゃんパーカーさまに先を越されるなんて…ディミヌ、一生の恥です……」
「ちょっとそれどういう意味?」

ジロリと目つきを悪くするニコ。対するディミヌには悪びれた素振りも見せない。
冷たい風が吹き始めた。気がする。

怪しくなってきた雰囲気を読み、ユリカは慌てて場を取り持つ。

「まあまあ二人とも、いいじゃん、同じ面白いイベントに目を付けたんだから、あたしたち気が合うって事で、あはは……」

ニコは気が合うという言葉を聞くと、途端に顔をほころばせて機嫌を良くする。
ちょっと単純すぎる気もするが、ニコは心を許した人は甘えてしまう性格なのだ。

「あたしたち…って、ユリカちゃんとあたしの事よね!当ったり前じゃなーい♪」
「あ、うーんと、それでいいならまあ、いっか…? ディミヌも、あんまからかわないでよ?」
「はぁーい、考えておきまーす。」

これは絶対直さないな、と思いながらも、ユリカは改めて考えを巡らせる。

楽しそうなお祭り騒ぎ。やりたいことに、見たいこと。全部が詰まった素敵な祭り。
きっと、ずっとこれを楽しみにしてたんだ。お祭りの名前を知る前からずっと。
でも、お祭りまでには日の余裕が無い。今すぐ決めないと。行くのか、行こう。行かないなんて選択肢、最初から無かった。
お金はある?時間は?交通手段は?そんな事どうでもいい。出発してから考えればいい!!!

「ねえ、二人とも、今すぐ出発するよ。」

「「はい!?!?」」



三人の珍道中や、楽しいお祭りは、また別のお話……

というか、誰か書いてヽ(^o^)丿チコサンチカラツキチャッタノー

↑キリ番みたいなの踏んだ人、ご一報頂ければなんか描きます。