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御祭サマー ~ニコとユリカと時々ディミヌ~

しろいしろい街のなか   あついあつい日昼下がり

機械とビルの街のなか   今日も変わらず人は行く

本日も晴天也   本日も晴天也…… 



『本日の最高気温は35度 本日の最高気温は35度 熱中症予防に水分・塩分補給を忘れずに……』

交差点の大スクリーンから響く声。人々の喧騒。かすかな機械の駆動音。
紫外線を取り除かれた日の光が、街を、人々を、焼くように照り付けている。

ここはメカノアート。最先端技術の結晶とも呼べる、清潔で幸福な機械の街。
少女は生まれ育ったこの街を嫌いなわけではなかったが、最近は退屈さを覚えていた。

「あ゛ーー、あっつーい……」

白とピンクのツートンカラーのキャップと、お揃いのヘッドフォンを着けて。
汗を拭いながらスクリーンを見上げる白い体躯の少女の名は、ユリカ。

「今日も涼んでいこ…」

巨大スクリーンの下にあるいつものカフェの前に立つと、外より8度低い空気がユリカを歓迎する。
香ばしいコーヒーの香りが鼻をくすぐる店内では、ユリカと同じくクーラーを求めて来店した客が各々の席で寛いでいた。

そんな中に、仏頂面でバニラフラペチーノを飲むウサ耳パーカー少女が一人。
ニコという名のその少女は、ユリカを見つけると少し驚いた後にパッと顔を明るくし、物凄い勢いで駆け寄って来ると、

「ユっっっっリっっっカっっっっちゃあああああんっ!!!」
「ぐぼぁっ!??」

抱き付いてきた。

「ユリカちゃーん!こんな所で会うなんて運命じゃないっ?丁度会いたかったのー!!」
「ちょ、ニコ、わ、わかった、ストップストップ、おちついて…!」

フラペチーノごと抱きしめて来るニコの手をゆっくり解きながら、苦笑するユリカ。
一方のニコは、少し不満そうな顔をしながらもそれに逆らう事はせず、代わりにパーカーのポケットから携帯端末を取り出した。

「あのねあのね、すっごい楽しそうなイベがあるからユリカちゃん誘おうと思ってて!そしたら本当にユリカちゃん来ちゃうんだもん!興奮しない方がおかしいって!!……ほら、見てみて、これ!」

そう言ってニコが見せてきた画面を覗くと、そこに書かれていたのは「ニーナタウン涼大祭」の大文字と、楽しそうな誘い文句に、カラフルなイラスト。
その1ページにふんだんに散りばめられたイベントの数々は、ユリカの心を躍らせるのに十分なものであった。

久しぶりのワクワク。求めていたドキドキ。ちょっと遠出になる?そんな事はどうでもいい。足りないと思っていた事が、全部詰まっているんだから。

「わぁ……、ねえ、これいつやるの?どこで?あ、ニーナか、ねえねえ行こうよこれすごい楽しそうっていうか絶対行くお祭りねえいつ空いてる?あたし今日から今スグ行っちゃってもぜんぜんいいんだけど行こう行こう荷作りしよう」
「ちょっと待って、さっきのあたしより今のユリカちゃんの方が絶対興奮しすぎでしょ。」

目をぎらぎらと輝かせて早口になるユリカを見て、今度はニコが苦笑する。

その時、急にニコの携帯端末の画面にノイズが走った。

なになに、と、更に深く画面を覗き込むユリカと、壊れたかな、と、軽く端末を叩くニコ。
壊れたわけではないらしく、怪しいノイズは徐々に消え、画面にはさっきまでいなかった存在がニヤニヤしながらユリカに向かって手を振っていた。

「あ、なーんだディミヌじゃん。やっほー」
「うぇ~、ディミヌ!?」

ディミヌ、と呼ばれた電子の少女は、触手をうにょうにょと動かしながら、そうでーす、と答える。
その顔は自信に満ちており、すごく良いこと知っていますと、顔に書いてあるようにも見えた。

「えへへー、マイマスターユリカさまに、ニコさまこんにちは~☆今日は一押し情報持って来ちゃったんですよぉ?聞きたいですか?」

それを聞くと、ニコはむっとした顔で舌を出し、画面を突く。

「べっつーにー?ユリカちゃんにはあたしが先に一押し情報教えたんだから!触手風情は引っ込んでなさいよ!」
「えー、そんな事言っちゃっていいんですか~?お祭りの情報ですよ~?ユリカさまもニコさまも好きそうなイベント情報ですよっ!!」

目を丸くした。ユリカとニコが。
ユリカはもしかして、と思い、一応訊くだけ訊いてみる事にした。

「あのさ…、それって、もしかしてニーナの祭りの事だったりしちゃう?」

今度はディミヌが目を丸くする番だ。

「え、何でわかったんですか?エスパーですか?」

動揺するディミヌを見て、ニコは得意げに腰(?)に手をやって、鼻息ふんすふんすと答える。

「えっへん、そ・れ・が、このあたしニコちゃんが先に教えた情報よ!」

それを聞き、予想以上にがっくりと肩を落とすディミヌ。

「えええええー!?ウサちゃんパーカーさまに先を越されるなんて…ディミヌ、一生の恥です……」
「ちょっとそれどういう意味?」

ジロリと目つきを悪くするニコ。対するディミヌには悪びれた素振りも見せない。
冷たい風が吹き始めた。気がする。

怪しくなってきた雰囲気を読み、ユリカは慌てて場を取り持つ。

「まあまあ二人とも、いいじゃん、同じ面白いイベントに目を付けたんだから、あたしたち気が合うって事で、あはは……」

ニコは気が合うという言葉を聞くと、途端に顔をほころばせて機嫌を良くする。
ちょっと単純すぎる気もするが、ニコは心を許した人は甘えてしまう性格なのだ。

「あたしたち…って、ユリカちゃんとあたしの事よね!当ったり前じゃなーい♪」
「あ、うーんと、それでいいならまあ、いっか…? ディミヌも、あんまからかわないでよ?」
「はぁーい、考えておきまーす。」

これは絶対直さないな、と思いながらも、ユリカは改めて考えを巡らせる。

楽しそうなお祭り騒ぎ。やりたいことに、見たいこと。全部が詰まった素敵な祭り。
きっと、ずっとこれを楽しみにしてたんだ。お祭りの名前を知る前からずっと。
でも、お祭りまでには日の余裕が無い。今すぐ決めないと。行くのか、行こう。行かないなんて選択肢、最初から無かった。
お金はある?時間は?交通手段は?そんな事どうでもいい。出発してから考えればいい!!!

「ねえ、二人とも、今すぐ出発するよ。」

「「はい!?!?」」



三人の珍道中や、楽しいお祭りは、また別のお話……

というか、誰か書いてヽ(^o^)丿チコサンチカラツキチャッタノー

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コメント

始終ハイテンションなギャグで面白かったです!この3人楽しそうでいいですね~

>匿名さん

キャアアアアアアご感想ありがとうございます!!!

シリアス書けないマンなので、楽しいギャグを目指して書いているつもりなのですが、楽しんで頂けて、この上なく幸せです……!!

個人的に、ユリカちゃんは他の子と絡ませやすいので、ちょっぴり贔屓めです(*'ω'*)

メカノアートの女子はそれぞれキャラが立っていて素敵な子ばかりだと思います。
あ、うちのクソ触手は除いて、ですがね!

うおお小説ありがとうございます!
ニコのキャラがめっちゃドストライクでした・・・もうこれが正解でいいよ、うん(ぇ
こちらも時間がありましたら続きとか書こうかな~と思っております!

いや自分ディミヌちゃんすごく好きですよ。元気で黒くて面白くて。動かしやすそうでいいキャラだなーって思います。

ううっ…!ディミヌを好きと言ってくださって、ありがとうございますっ!!!

動かすのに頭も気も遣わなくて良いキャラとして調整したので、動かしやすいという言葉が何よりも嬉しいです!

>でつさん

コメント確認が遅くなってしまって申し訳ないです…orz
こちらこそ、読んで下さりありがとうございます!!

本当にニコちゃんのキャラはこんな感じでいいんですか!?嬉しいです!!
よーしお姉さんもっと動かしちゃうぞぉ(スイマセン)

なんと!続きですか!ぜひぜひ読ませて頂きたいです(*´ω`*)

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